起立性調節障害-5
- 年齢
- 17歳
- 性別
- 女性
- 身長
- 153cm
- 体重
- 44Kg
- 治療方法
- 硬膜外気体注入療法
- メモ
- HPVワクチン接種後に再発症したOD(起立性調節障害)
- 主訴
- 体に力が入らないことで、子宮頸癌ワクチンの接種後に発症したOD(起立直後型低血圧)と診断して良いと考えています。
- その他の症状として
- 頭痛 全身の痛み 肩こり 背中の痛み 歩行障害 立ちくらみ のぼせる めまい フラツキ 耳鳴り 聴覚過敏 光過敏 集中力低下 動悸 多汗 味が分からない 舌の動きが悪い(滑舌が悪い) 喉が引きつる感じがする 物が上手く飲み込めない
- 症状を悪化させる要因
- 特にない、寝ていても辛い
- 症状を軽減させる要因
- 特にない
- 現病歴
- 小学校の時は元気だった。中学2年(14歳)の夏休みに(8月)、部活(剣道)で突然倒れた(本人は倒れたことを覚えていない)。救急車で総合病院に運ばれ、小児科で診察を受けた。検査で異常が無く、点滴をして2時間くらいで意識が戻ったので帰宅した。同じ年の9月、10月、翌年の3月(中学2年と時)にHPVワクチン(サーバリックス)の接種を受けている。9月と10月にも倒れたが(HPVワクチン接種の数日後)、病院に運ばれて点滴を受けると意識が戻るので、入院はしていない。HUTテストを受けて、OD(起立性調節障害)と診断され、血圧を上げる薬を処方された。ODと診断されてから半年くらいで改善し、高校へ進学した。来院の2ヶ月前から、体がだるくて動きづらくなった。朝起きられない、めまいがする、体に力が入らなくて歩けないなどの理由で、学校に行けなくなった。食べ物が喉を通らず、上部消化管の内視鏡検査や頭や頸部のMRIも検査したが、異常は無かった。歩けなかった同級生がEGI(硬膜外気体注入療法)を受けて普通に歩けるようになっていたので、発症から2ヶ月後に来院。
- 治療前の状態
- 意識は清明で、四肢麻痺などの明らかな異常ななかった。MRIは頭部、腰椎で撮影したが、異常はなかった。
- 治療経過
- 腰椎穿刺で髄液圧を測定すると9.3cm水柱で正常であった。髄液を5mL排除すると、およそ3時間後から頭痛がした。腰椎穿刺の2日後にEGI(硬膜外気体注入療法)を行った。直後から頭痛が消失し、体が楽になったが、また元に戻った。一旦退院し、1ヶ月後に2回目のEGIを行ったところ、立ち上がっても辛くなくなり、立ちくらみの改善と2時間くらい動き回れるようになった。治療を始めて4ヶ月後にはほぼ普通に学校に通えるようになったが、時々悪化したので、治療開始から9ヶ月まではEGIを繰り返したが、その後はまったく無症状になり、大学にも進学した。その後は一度も来院していない。
- 治療前後の比較
- 図-23に治療前と治療後4ヶ月のHUTテスト(平均血圧)の結果を示す。治療前は身体を起こすと平均血圧が20mmHg急激に下がった。しかし、EGIを5回行った後の治療開始4ヶ月後のHUTテストでは身体を起こしたときの血圧上昇がみられ、正常なパターンに戻っている。図-24には、治療前と、治療終了後(治療開始から10ヶ月後)のTUG(3m往復歩行に要する時間)を示すが、治療前には著しく歩行が遅かったことが分かる。EGIにより、正常に歩けるようになった。
- 発症から初診まで
- 2ヶ月
- 初診から治療終了まで
- 10ヶ月
- 入院期間
- 7回の入院で、合計19日
- 治療費(概算)
- 硬膜外気体注入療法:30,000円 入院(1泊2日目安):100,000円 ※保険適用外
- 治療の主なリスク・副作用
- 痛み、出血、感染、空気塞栓、麻酔、偶発的合併症
- HUT(ヘッドアップティルト試験)
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ティルト台に臥床した状態で受動的にヘッドアップを行い、その際の症状・血圧・心拍数などを観察し、起立耐性を判定する検査です。
- 選択されたタグ
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- 背部痛
- 全身の痛み(繊維筋痛症)
- めまい
- 耳鳴り
- 聴覚過敏
- 光過敏
- 味覚障害
- 歩行障害、ふらつき
- 集中力低下
- 体温調節障害
- 異常な発汗、ひどい寝汗
- 血圧や脈拍の異常(起立性調節障害)