起立性調節障害-3
- 年齢
- 11歳
- 性別
- 女性
- 身長
- 151cm
- 体重
- 36Kg
- 治療方法
- 硬膜外気体注入療法
- 主訴
- 頭痛で朝起きられない、立っていることが出来ない。原因不明のOD(起立性調節障害)と診断して良いと考えています。
- その他の症状として
- 肩こり 頸部痛 背中の痛み 両手足の痛み フラツキ 歩行障害(立つことも出来ない) 前屈みになれない 疲れ易い 不眠 集中力低下 痰が出て呼吸が苦しくなる 発汗異常(異常に汗をかく)
- 症状を悪化させる要因
- 横になる低気圧(天気痛)、起き上がる(起立性頭痛)
- 症状を軽減させる要因
- 横になる
- 現病歴
- 来院の6ヶ月前のある朝、起きたときに首の後ろが痛かった。前日まではまったく元気であった。整形外科を受診したが、「成長痛」といわれ、トリッガーポイント治療を受けたが効果がなかった。頸椎のMRIを撮ったが、異常は無かった。ペインクリニックでは出来るだけ動いた方が良いと言われたが、動くと益々悪くなった。胸椎のMRIも撮ったが異常は無かった。学校には親が送り迎えして何とか通っていたが、来院の3ヶ月前からは起き上がることも難しくなり、通学も出来なくなった。ペインクリニックからリリカを処方されて、痛みは少し軽減した。朝起きると痛みが強くて起き上がれず、夕方も痛い。風呂で立って体を洗えない。トイレでお尻は拭けるが、排尿したあと、首や頭が痛くて前屈みになれないので、母親が拭いていた。インターネットに症状を入力したら「脳脊髄液漏出症」の症状に似ていたので来院。来院時にはまったく起き上がれず、父親に抱きかかえられての来院であった。「脳脊髄液減少症」では輸液をすると症状が軽減するので、外来で輸液したが改善しなかった。
- 治療前の状態
- 意識は清明で、四肢麻痺などの明らかな異常ななかった。しかし立ち上がることも出来なかった。MRIは頭部、頸椎、腰椎で撮影したが、異常はなかった。
- 治療経過
- 症状が低髄液圧症に似ているので(長く立っていると悪化し、横になると楽になる)腰椎穿刺を行った。髄液圧は14.5 cm水柱で正常、髄液を5mL排除したが、特に悪化はしなかった。 腰椎穿刺の4日後に行ったところ、翌日には痛みもなくなり、立って歩けるようになった。 退院後は学校に行ったが午前中の授業が終わると頭痛で帰宅する。まだ完治していなかったので、初回入院から3週間後に2回目の入院をし、EGI(硬膜外気体注入療法)を行った。この後はまったく無症状になった。経過観察の3ヶ月後以降はまったく来院していなかったが、治療の4年後に知人がCFS(慢性疲労症候群)の治療のために来院し、まったく元気になり高校に通っていると聞いている。
- 治療前後の比較
- 図-20に治療前と初回治療の翌日、3ヶ月後の重心動揺検査を示す。治療前は立つことも出来ず、検査すら出来なかった。治療の翌日には支えなしで立位を保持できたが、少しフラついた。治療後3ヶ月には正常になっている。
- 発症から初診まで
- 6ヶ月
- 初診から治療終了まで
- 50日
- 入院期間
- 2回の入院で合計31日
- 治療費(概算)
- 硬膜外気体注入療法:30,000円 入院(1泊2日目安):100,000円 ※保険適用外
- 治療の主なリスク・副作用
- 痛み、出血、感染、空気塞栓、麻酔、偶発的合併症
- 重心動揺検査
-
直立姿勢での身体の揺れを記録・解析し、身体の平衡(バランス)機能を検査します。健常者の男女・年齢別の基準値に比較して、緑色域の平均値±2SD(標準偏差の2倍)を超える場合、異常と判断しています。
- 選択されたタグ
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- 頸部痛
- 背部痛
- 手のしびれまたは痛み、脱力(胸郭出口症候群)
- 歩行障害、ふらつき
- 全身倦怠感(慢性疲労症候群)
- 集中力低下
- 不眠
- 異常な発汗、ひどい寝汗