原因がハッキリせず、病気の症状
効果の高い治療法が確立していない医学が進歩して、結核、糖尿病、胃潰瘍など多くの病気が治るようになりました。日本人の死亡原因のトップであるガンが克服されるのも夢ではありません。しかし、いまだに原因がハッキリせず、効果が高い治療法が確立されていない病気や症状で、多くの人が日常生活を妨げられています。
たとえば、交通事故によるむち打ちの後遺症、頭痛などで朝起きられずに、不登校の原因の一つとなっている起立性調節障害、全身に強い痛みが起こる線維筋痛症、異常な疲れやすさが続く慢性疲労症候群、異常に汗をかく多汗症などが挙げられます。
ここに挙げた病気以外でも、病名が分からないまま、あちこちの病院をたらい回しにされているだけではなく、周りから理解されずに苦しんでいる人が少なくありません。
自律神経障害に新しい知見からのアプローチ
硬膜外気体注入療法
私たちは脳神経外科医として、頭部外傷を数多く診療します。その中で、軽度な頭部外傷などが原因となって「髄液動態不全」に陥り、頭痛、めまい、光過敏、聴覚過敏、倦怠感だけではなく、発汗障害や水様下痢などの「自律神経障害」を呈する症例が多いことに気付きました。「髄液動態不全」の一部は頸・胸椎のMRIで確認できるようになっています。
これまでに、交通事故後の慢性頭痛や起立性調節障害などを含む、原因不明の不調を訴える1200人の患者を診察。
900人に対して硬膜外気体注入療法を実施してきました。
ひとりでも多くの患者へ
日常生活を取り戻す治療を
硬膜外気体注入療法を実施した結果、適応が正しければ一時的な改善も含め、95%以上に効果があることが分かりました。
効果の度合いはさまざまですが、日常生活を送れないほどひどい状態から回復して社会復帰できたケースも多く、全体では60%が社会復帰しています。
頭痛、めまい、体の痛み、倦怠感、光過敏や音過敏、多汗症や異常な下痢などの自律神経障害。その原因が「脳脊髄系動態不全」の場合、硬膜外気体注入療法は効果的な治療だと考えています。
私たちは一人でも多くの人に硬膜外気体注入療法について知って欲しいと願っています。
☑このような症状はありませんか?
SELF CHECK SHEET
- 頭痛
- 腰痛
- 全身の痛み
- めまい
- 耳鳴り
- 聴覚過敏
- 眼痛・目のかすみ
- 光過敏
- 顎が痛い・開かない
- 味覚障害・嗅覚障害
- 筋力低下
- ふらつき・歩行障害
- 倦怠感
- 記憶力の低下
- 集中力の低下
- 不眠
- 落ち込み
- 下痢・便秘・失禁
- 体温調節障害
- 異常な発汗
- 血圧・脈拍異常
- 風邪を引きやすい
- 食物アレルギー
- 花粉症
今のところ、自律神経失調症や慢性外傷後頭痛(軽度外傷性脳損傷)に対する確実な治療方法は確立されていません。主に対症療法や生活指導が行われているのが現状です。
これまでの経験から、「硬膜外気体注入療法」は、短期間で自律神経機能を整え、体調を改善させているようです。
硬膜外腔に気体を入れると言う、古くて新しい治療は保険診療ではなく、自由診療(全額自費)です。
この治療の大きな特徴は、安全性が高く、即効性があり、治療による身体へのダメージがほとんどないことです。そのため、小学校低学年にも安全に行えます。
具体的な症例を書籍でもご紹介しています