起立性調節障害-1
- 年齢
- 10歳
- 性別
- 男性
- 身長
- 133cm
- 体重
- 30.1Kg
- 治療方法
- 硬膜外気体注入療法
- 主訴
- 朝起きられない
- その他の症状として
- 頭痛 頸部痛 全身の痛み(FM:繊維筋痛症に似ている) 記憶力低下 集中力低下 複視
- 症状を悪化させる要因
- 朝起きたときにひどい
- 症状を軽減させる要因
- 特にない
- 現病歴
- 来院の5ヶ月前に首の痛みがあった。翌月には頭痛と吐き気があり体調不良が続き、一学期は7日学校を休んだ。学校に行けないときは体がだるく、2-3日寝ていた。発症から5ヶ月経っても改善せず。体が重くて学校に行けなくなった。歩行も難しくなった。小児科では心因性の可能性を指摘されたが、知人がEGIで症状が改善したので来院。
- 既往歴
- 特記すべき事なし。明らかな外傷はない。
- 治療前の状態
- 意識は清明で、四肢麻痺などの明らかな異常はなかった。しかし歩行は著しく困難で、フラツキがみられた。HUTでは立位にして脈拍が20/min上昇した。POTS(体位性頻脈症候群)の診断基準を満たすのではないが、病歴と症状からはOD(起立性調節障害)と考えられた。
- 治療経過
- 入院当日に腰椎穿刺を行った。髄液圧は14.5 cm水柱、髄液を3mL排除下が症状の悪化はなかった。腰椎穿刺の2日後と3日後の2日続けてEGI(硬膜外気体注入療法)を行った。治療直後から頭痛は軽減し、5日間の入院後、ほぼ無症状で退院した。
- 治療前後の比較
- 図-17に治療前と治療後3ヶ月のSF-36、重心動揺検査、及びTUG(3m往復歩行に要する時間)と握力の検査結果を示す。SF-36で3ヶ月後には正常な日本人異常に元気に回復しているが、自覚的には治療の翌日にはほぼ完治していた。SF-36は本来18歳以上を対象としているが、それ以下の年齢でも有用である。TUG(3m往復歩行に要する時間)では3ヶ月後に顕著な回復が認められ、飛ぶように歩いていた。握力も顕著に上昇していた。
- 発症から初診まで
- 5ヶ月
- 初診から治療終了まで
- 1ヶ月
- 入院期間
- 5日
- 治療費
- 硬膜外気体注入療法:30,000円 入院(1泊2日目安):100,000円 ※保険適用外
- 治療の主なリスク・副作用
- 痛み、出血、感染、空気塞栓、麻酔、偶発的合併症
- 備考
- 発症から治療開始までは6ヶ月経過していたが、わずか5日の1回の入院加療で完治した。
- HUT(ヘッドアップティルト試験)
-
ティルト台に臥床した状態で受動的にヘッドアップを行い、その際の症状・血圧・心拍数などを観察し、起立耐性を判定する検査です。
- 重心動揺検査
-
直立姿勢での身体の揺れを記録・解析し、身体の平衡(バランス)機能を検査します。健常者の男女・年齢別の基準値に比較して、緑色域の平均値±2SD(標準偏差の2倍)を超える場合、異常と判断しています。
- 選択されたタグ
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- 頸部痛
- 全身の痛み(繊維筋痛症)
- 複視
- 記銘力障害
- 集中力低下