起立性調節障害-2

年齢
18歳
性別
男性
身長
170cm
体重
56Kg
治療方法
硬膜外気体注入療法 
主訴
頭痛(朝起きたとき頭痛がして学校に行けない)、外傷をきっかけとしてOD(起立性調節障害)と診断しても良いと考えています。
その他の症状として
頸部痛 背中の痛み 肩甲骨と肩甲骨の間の痛み 肩こり フラツキ 立ちくらみ 倦怠感 記憶力低下 集中力低下 視力低下 眼の痛み 顎が十分に開かない 微熱(体温調節障害) 動悸 食欲不振 吐き気
症状を悪化させる要因
立ち上がる(起立性頭痛)、動く、天気が悪い(天気痛)
症状を改善させる要因
横になっている
現病歴
8年前(小学校5年生)に自転車で走行していて電柱に激突した。意識消失や健忘症もなく、傷の手当てを受けただけで入院はしなかった。この事故の後から起きていると頭痛と頸部痛がある。症状はだんだん悪化し、朝起きて頭痛と頸部痛があり、中学2年の頃からはほとんど学校に行っていない(不登校)。この頃に総合病院小児科でODと診断された。片頭痛と診断した医師からは薬を処方されたが良くならなかった。心療内科では自律神経失調症と診断された。テレビで「脳脊髄液減少症」の放送があり、症状が似ているので脳神経内科で「脳脊髄液漏出症」ではないかと尋ねたが、違うと言われた。ネットで「脳脊髄液漏出症」を検索し、発症から8年後に当院を受診。
治療前の状態
意識は清明で、四肢麻痺などの明らかな異常ななかった。頭部と頸部のMRIでは明らかな異常なし。
治療経過
症状が低髄液圧症に似ているので(長く立っていると悪化し、横になると楽になる)腰椎穿刺を行った。髄液圧は15.8 cm水柱と正常で、髄液を15mL排除すると、直後からまぶたが軽くなった(髄液排除による症状軽減)。腰椎穿刺の2日後にEGI(硬膜外気体注入療法)を行い、症状は顕著に改善した。
治療前後の比較
図-18に治療前と治療後3ヶ月のSF-36及び治療前と2ヶ月後のGraviChartを示す。SF-36では全ての項目が改善しているが、いたもの改善と動きの改善が特に顕著。自覚的なフラツキも取れ、重心動揺検査で視覚的に確認出来る。図-19には治療前と治療2ヶ月後のHUTテストの中で、脈拍の変化を示す。治療前は身体を起こすと脈拍が40/min上昇し、POTS(体位性頻脈症候群)に相当する。治療2ヶ月後にはこの反応も改善した。以後治療はして織らず、来院もしていないが、大学まで進学したと聞いている。
発症から初診まで
8年
初診から治療終了まで
23日
入院期間
機能評価など検査に要して6日間を含め、10日間
治療費(概算)
硬膜外気体注入療法:30,000円 入院(1泊2日目安):100,000円 ※保険適用外
治療の主なリスク・副作用
痛み、出血、感染、空気塞栓、麻酔、偶発的合併症
重心動揺検査

直立姿勢での身体の揺れを記録・解析し、身体の平衡(バランス)機能を検査します。健常者の男女・年齢別の基準値に比較して、緑色域の平均値±2SD(標準偏差の2倍)を超える場合、異常と判断しています。

HUT(ヘッドアップティルト試験)

ティルト台に臥床した状態で受動的にヘッドアップを行い、その際の症状・血圧・心拍数などを観察し、起立耐性を判定する検査です。

選択されたタグ
  • 頸部痛
  • 背部痛
  • 眼痛
  • 視力低下
  • 顎が痛い、口が十分に開かない(顎関節症)
  • 歩行障害、ふらつき
  • 全身倦怠感(慢性疲労症候群)
  • 記銘力障害
  • 集中力低下
  • 体温調節障害
  • 血圧や脈拍の異常(起立性調節障害)

起立性調節障害-1

年齢
10歳
性別
男性
身長
133cm
体重
30.1Kg
治療方法
硬膜外気体注入療法 
主訴
朝起きられない
その他の症状として
頭痛 頸部痛 全身の痛み(FM:繊維筋痛症に似ている) 記憶力低下 集中力低下 複視
症状を悪化させる要因
朝起きたときにひどい
症状を軽減させる要因
特にない
現病歴
来院の5ヶ月前に首の痛みがあった。翌月には頭痛と吐き気があり体調不良が続き、一学期は7日学校を休んだ。学校に行けないときは体がだるく、2-3日寝ていた。発症から5ヶ月経っても改善せず。体が重くて学校に行けなくなった。歩行も難しくなった。小児科では心因性の可能性を指摘されたが、知人がEGIで症状が改善したので来院。
既往歴
特記すべき事なし。明らかな外傷はない。
治療前の状態
意識は清明で、四肢麻痺などの明らかな異常はなかった。しかし歩行は著しく困難で、フラツキがみられた。HUTでは立位にして脈拍が20/min上昇した。POTS(体位性頻脈症候群)の診断基準を満たすのではないが、病歴と症状からはOD(起立性調節障害)と考えられた。
治療経過
入院当日に腰椎穿刺を行った。髄液圧は14.5 cm水柱、髄液を3mL排除下が症状の悪化はなかった。腰椎穿刺の2日後と3日後の2日続けてEGI(硬膜外気体注入療法)を行った。治療直後から頭痛は軽減し、5日間の入院後、ほぼ無症状で退院した。
治療前後の比較
図-17に治療前と治療後3ヶ月のSF-36、重心動揺検査、及びTUG(3m往復歩行に要する時間)と握力の検査結果を示す。SF-36で3ヶ月後には正常な日本人異常に元気に回復しているが、自覚的には治療の翌日にはほぼ完治していた。SF-36は本来18歳以上を対象としているが、それ以下の年齢でも有用である。TUG(3m往復歩行に要する時間)では3ヶ月後に顕著な回復が認められ、飛ぶように歩いていた。握力も顕著に上昇していた。
起立性調節障害 1 治療前
起立性調節障害 1 治療3ヶ月後
発症から初診まで
5ヶ月
初診から治療終了まで
1ヶ月
入院期間
5日
治療費
硬膜外気体注入療法:30,000円 入院(1泊2日目安):100,000円 ※保険適用外
治療の主なリスク・副作用
痛み、出血、感染、空気塞栓、麻酔、偶発的合併症
備考
発症から治療開始までは6ヶ月経過していたが、わずか5日の1回の入院加療で完治した。
HUT(ヘッドアップティルト試験)

ティルト台に臥床した状態で受動的にヘッドアップを行い、その際の症状・血圧・心拍数などを観察し、起立耐性を判定する検査です。

重心動揺検査

直立姿勢での身体の揺れを記録・解析し、身体の平衡(バランス)機能を検査します。健常者の男女・年齢別の基準値に比較して、緑色域の平均値±2SD(標準偏差の2倍)を超える場合、異常と判断しています。

選択されたタグ
  • 頸部痛
  • 全身の痛み(繊維筋痛症)
  • 複視
  • 記銘力障害
  • 集中力低下

硬膜外気体注入療法の費用とリスクについて

硬膜外気体注入療法

概算費用
30,000円 ※保険適用外
入院する場合は入院費別途(一泊二日の概算費用100,000円 保険適用外)
内容
点滴、硬膜外気体注入療法、酸素カプセル
リスク
痛み、出血、感染、空気塞栓、麻酔、偶発的合併症
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