外傷を契機とした慢性疲労症候群-2 

年齢
32歳
性別
女性
身長
168.4cm
体重
86.8Kg
治療方法
硬膜外気体注入療法 
メモ
TBI(外傷性脳損傷)、CFS(慢性疲労症候群)
主訴
(一番辛い症状は)体がだるくてすぐ横になりたくなる(CFS:慢性疲労症候群と似ている)
その他の症状として
首と肩がこる 頭が重い やる気が出ない(意欲低下) 目がチカチカする 夕方になると動くのがやっと 少しのことでイライラする 壁の近くに立つと耳に膜が張った感じ 重なったものを数えようとすると吐き気 めまい 耳鳴り 記憶力低下(何をしようとしていたか忘れる) 集中力低下 背中の正中部の痛み 腰痛 肩甲骨と肩甲骨の間痛み 光過敏 速く動くものが追いかけられない 気持ちが悪くなる 聴覚過敏 味覚が分からない 味が分からないのに異常に食べる(1年で20㎏太った、顎が十分に開かない) 発汗異常 流涙(目が乾燥しているわけでもなく 悲しくもないのに涙が異常に出る) 下痢や便秘 性行為をしなくなった
症状を悪化させる要因
天気(天気痛)、長く立っている(起立性頭痛)、車に乗る
症状を改善させる要因
横になる、入浴
現病歴
来院の2年4ヶ月前に交通事故に遭った。高速道路で他車とぶつかり、横転した。意識を消失している時間が30分以上だったので、軽度外傷性脳損傷(mTBI)ではなく、外傷性脳損傷(TBI)に該当する。かなり大きな事故だった。第一頸椎に骨折があり、東海大学病院で2ヶ月半入院。ハローベストをつけていた。その後長崎で3ヶ月入院。事故から2年経ってから看護婦として働いていたが、夕方になると疲れ疲れやすくなった。事故の後味覚が鈍くなって食欲もないのに食べて、1年前と比べ 20㎏ 太った。味覚が分からなくなった。症状は天気に左右された。症状は酷くなり、来院の2ヶ月前からはめまいと耳閉感があり、耳鼻科を受診した。「脳脊髄液減少症」を疑われて受診。
治療前の状態
意識は清明で麻痺もなく、一見正常。MRIでは小さな髄膜腫が見つかったが、これによる症状はない。DSSS(Dural sac shrinkage sign:脊髄硬膜嚢の虚脱サイン)所見も認められなかった。
治療経過
入院の翌日に腰椎穿刺をおこなった。髄液圧は正常で、15 cm水柱であったが、髄液を15mL排除すると、目が楽になり、肩の重さが取れ、頭がすっきりした。腰椎穿刺の4日後に硬膜外腔に生理食塩水40 mLと酸素60 mLを注入した。直後から目が明るく見えるようになり、頭痛が消失。また、味覚も戻った。異常な流涙もとまった。
治療前後の比較
図-16に治療前、治療後1ヶ月、治療から12年後のSF-36と、治療前と治療後1ヶ月のTriIRIS(輻輳調節機能を調べる検査)を示す。治療前のSF-36では軽症例に似ているが、症状ははるかに重い。治療後1ヶ月ではまだ痛みが残っているが、その後消失。髄膜腫の経過観察のために定期的に診察しているが、症状は全くなく、二児に恵まれている。治療から12年後にSF-36を調べたが、痛みも全くなくなっていた。治療から短期間で輻輳調節機能(見たいものにピントを合わせる力)も改善している。 一度の治療で完治し、二児をもうけ、看護師として全く元気に働いている。
事故から初診まで
2年7ヶ月
初診から治療終了まで
2ヶ月
入院期間
13日
治療費(概算)
硬膜外気体注入療法:30,000円 入院(1泊2日目安):100,000円 ※保険適用外
治療の主なリスク・副作用
痛み、出血、感染、空気塞栓、麻酔、偶発的合併症
選択されたタグ
  • 背部痛
  • 腰痛
  • めまい
  • 耳鳴り
  • 聴覚過敏
  • 光過敏
  • 味覚障害
  • 全身倦怠感(慢性疲労症候群)
  • 記銘力障害
  • 集中力低下
  • 下痢
  • 便秘(下痢も含めて、過敏性腸症候群)
  • リビドーの低下(性欲低下、勃起不全)
  • 異常な発汗、ひどい寝汗