外傷を契機とした慢性疲労症候群-1
- 年齢
- 36歳
- 性別
- 男性
- 身長
- 165cm
- 体重
- 72Kg
- 治療方法
- 硬膜外気体注入療法
- メモ
- mTBI(軽度外傷性脳損傷)、 CFS(慢性疲労症候群)
- 主訴
- 倦怠で、外傷をきっかけとしてCFS(慢性疲労症候群)と診断しても良いと考えています。
- その他の症状として
- 頭痛 腰痛 顔のしびれ 動悸 多汗 のぼせる めまい 耳鳴り フラツキ 記憶力低下 集中力低下 肩こり 肩甲骨と肩甲骨の間の痛み 目の焦点が合わない 下痢
- 症状を悪化させる要因
- 長く立っている(起立性頭痛)、天気に左右される(天気痛)、朝起きたときひどい
- 症状を軽減させる要因
- 横になる
- 現病歴
- 15歳から19歳までボクシングをしていた。19歳の時から疲れやすくなり、相手のパンチがよけられず、サンドバッグの様に打たれるようになり、引退した。倒されて気を失うこともあった。以後17年間、ずっと疲れやすく、頭痛などの様々な症状が続き、いくつかの病院を受診したが原因がわからなかった。建築関係の自営業を営んでいるが、現場の仕事はしておらず、体調が悪くなると一ヶ月も会社を休むことがある。テレビ番組で「脳脊髄液漏出症」の放映があり、症状が似ているので来院した。
- 治療前の状態
- 意識は清明で、四肢麻痺などの明らかな異常ななかった。MRIは頭部、頸椎、腰椎、胸椎で撮影したが、異常はなかった。DSSS(Dural sac shrinkage sign:脊髄硬膜嚢の収縮サイン)の所見もなかった。
- 治療経過
- 症状が低髄液圧症に似ているので(長く立っていると悪化し、横になると楽になる)腰椎穿刺を行った。髄液圧は23.8 cm水柱(正常は6から20cm水柱)と異常に高く、髄液を10mL排除すると、直後から物がよく見えるようになり、頭がスッキリした。腰椎穿刺の翌日に硬膜外に生理食塩水20 mLと酸素30mLを注入した(この頃は生理食塩水と酸素を注入していたので、ESOI(epidural saline and oxygen injection)と呼んでいた)。 治療の翌日には病室で好きな本を読んでいた。治療前はあまり読めなかった。
- 治療前後の比較
- 図-15に治療前と治療後3ヶ月のSF-36及びTriIRIS(輻輳調節機能を調べる検査)の検査結果を示す。治療前のSF-36はCFS(慢性疲労症候群)の中等症に似ている。SF-36で3ヶ月後にはほとんど正常に回復しているが、自覚的には治療の翌日にはほぼ完治していた。TriIRISの結果は、治療前では輻輳調節機能(見たいものにピントを合わせる力)に障害があり、目の焦点が合わないという症状を客観的に評価できている。これは、自覚的には治療の翌日に消失し、3ヶ月後の検査で正常に回復している。

- 事故から初診まで
- 17年
- 初診から治療終了まで
- 17日
- 入院期間
- 9日
- 治療費
- 硬膜外気体注入療法:30,000円 入院(1泊2日目安):100,000円 ※保険適用外
- 治療の主なリスク・副作用
- 痛み、出血、感染、空気塞栓、麻酔、偶発的合併症
- 選択されたタグ
-
- 腰痛
- めまい
- 耳鳴り
- 目の焦点が合わない
- 歩行障害、ふらつき
- 記銘力障害
- 集中力低下
- 下痢
- 便秘(下痢も含めて、過敏性腸症候群)
- 体温調節障害
- 異常な発汗、ひどい寝汗
- 血圧や脈拍の異常(起立性調節障害)