新型コロナウィルス感染後遺症-1

年齢
11歳
性別
男性
身長
cm
体重
Kg
治療方法
硬膜外気体注入療法 
主訴
頭痛
その他の症状として
腰痛 動くと身体を痛めやすい 首と肩のコリ 顔面痛 歯の痛み 聴覚過敏 疲れやすい 集中力低下 記憶力低下 筋力低下 歩行障害(午前中はほとんど歩けない) 気持ちが悪い 腹痛 下痢 夜尿症(コロナ感染以前から)
症状を悪化させる要因
雨が降る(天気痛)、起き上がる(起立性頭痛、朝11時頃まで起きられない)
症状を改善させる要因
横になる
現病歴
2022年1月に新型コロナウイルスに感染し、発熱、頭痛、倦怠感があった。3日くらいで解熱し、新型コロナウイルス感染からは回復したが、その後も頭痛と倦怠感が強くて学校に行けない。小児科では起立性調節障害を疑われたが、小児頭痛を専門とする医師からは起立性調節障害ではなく心因性と言われた。新型コロナウイルス感染後遺症の患者を多く診察している東京のクリニックを受診し、病歴と症状から新型コロナウイルス感染の後遺症と診断され、Bスポット療法6を勧められた。Bスポット療法を8回受けたが改善せず(初回だけ少し効果があった)、母親が起立性調節障害をネットで調べて来院した。
治療経過
血液検査や画像上の異常がないことを確認し、5月30日に1回目の硬膜外気体注入療法を入院して行った。翌朝には頭痛が軽減していた。治療から4日目には頭痛は半減した(6/10→3/10:10が最大の痛み)。だるさがあり、朝はまだ起きられないので6月7日に2回目の硬膜外気体注入療法を外来で行った。その後だるさが軽減し、朝起きる時間が少し早くなった。また、頭痛はほとんど気にならなくなった。6月28日に3回目の治療を外来で行った。7月3日に母が来院し、朝起きて歩いて学校に行けるようになり、聴覚過敏も消失したという治療後の経過報告を受けた。
発症から初診まで
4ヶ月
初診から治療終了まで
1ヶ月半
入院期間
2日
外来治療
2回。1ヶ月の間に硬膜外気体注入療法を3回行った。
治療費(概算)
硬膜外気体注入療法:30,000円 入院(1泊2日目安):100,000円 ※保険適用外
治療の主なリスク・副作用
痛み、出血、感染、空気塞栓、麻酔、偶発的合併症

新型コロナウイルス感染後遺症の治療について

私たちは新型コロナウイルス感染やその後遺症の専門家ではありません。しかし、毎日のように報道されるコロナ後遺症の症状は、慢性疲労症候群や起立性調節障害に大変良く似ていると感じています。ここで紹介した1例はまだ完治しているわけではなく、再発も懸念されます。しかし、発症から4ヶ月の間に、いくつかの病院やクリニックで診察を受けて治療されたにもかからず改善せず、硬膜外気体注入療法を短期間の間(1ヶ月)に繰り返すことで、午前中は歩くことも困難な状態から、朝起きて歩いて学校に通えるようになったのであれば、硬膜外気体注入療法が有効であったと思います。

新しい治療を試みるとき、「ビギナーズラック」の様なことがあります。はじめの何人かには効果があったように見えても、その後症例を重ねたり、二重盲検試験を行うと有効性がなかったと言うことは珍しくありません。新型コロナウイルス感染の後遺症は世界的に問題となっており、精力的に研究されています。したがって、硬膜外気体注入療法の効果が、世界的な規模で信頼度の高い臨床試験の対象となる可能性があると期待しています。

選択されたタグ
  • 腰痛
  • 聴覚過敏
  • 歩行障害、ふらつき
  • 全身倦怠感(慢性疲労症候群)
  • 記銘力障害
  • 集中力低下
  • 下痢
  • 便秘(下痢も含めて、過敏性腸症候群)

硬膜外気体注入療法の費用とリスクについて

硬膜外気体注入療法

概算費用
30,000円 ※保険適用外
入院する場合は入院費別途(一泊二日の概算費用100,000円 保険適用外)
内容
点滴、硬膜外気体注入療法、酸素カプセル
リスク
痛み、出血、感染、空気塞栓、麻酔、偶発的合併症
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